はちみつの湯煎、濾過、ビン詰め

はちみつの湯煎、濾過、ビン詰め

一般的にはちみつは一斗缶を使って収集されます。農薬(グリホサート)や風味の官能検査を行い、作業直前にもBrix計測器を使用して「糖度」を計測します。採蜜時にも糖度は計測してありますが一斗缶を管理する人間の目でもしっかり確認をします。はちみつはほとんどブドウ糖や果糖の塊であるため、このBrix数値=糖度として判断します。またビン詰め前に容器ビンの洗浄を行います。

 
BRIX計の様子
目安は国産はちみつで78度以上、海外産は80度以上です。
ちなみに画像は「国産れんげ蜜(鹿児島県)」の糖度です。およそ81度。目で見る角度を変えるとラインがくっきり見えるのですがカメラで撮るとこんな感じ。

 

瓶詰めする前に一度、一斗缶ごと湯煎を行います。はちみつは結晶に至ると開封、濾過、ビン詰めもままなりません。湯煎温度は55度くらいです。ただこの湯煎温度、お湯の温度であってはちみつの温度ではありません。お湯に浸けるのは一斗缶の表面積の半分くらい。はちみつは糖の粘度、密度が非常に濃い(高い)のではちみつ自体の温度上昇は水より若干遅くなります。

 
湯煎温度

夏季の湯煎画像ですが温水槽に湯を張り始めて、時間にして4~5時間(冬季は少し長めに調整します)でこのくらいの温度。お湯に浸かっているところといないところの間を取って中心温度50度程度と考え、あとは余熱で十分です。これ以上温めることはしません。はちみつの比熱自体は低い方なのですがあまりにも水分が少なく、対流が起きづらいのでなかなか温まらない感じです。程度にもよりますが湯煎中に意図的に攪拌すれば温度が低くても結晶は溶かすことも可能(効果的)です。ちなみにはちみつの比重は水の1.4倍ほどと言われます。

湯煎は殺菌や滅菌が目的ではありません。非加熱はちみつはこの湯煎をおこないません。

結晶の溶かし方はこちら→

加熱、非加熱はちみつについてはこちら→

 

 

濾過は吐出口のついたステンレス製のタンクを使用します。タンクにはステンレス製メッシュと繊維製メッシュを併用します。はちみつには自然由来のいろいろな不純物が含まれますがそれらを取り除くためです。

 
繊維製メッシュ
使用する繊維製メッシュは目開きおよそ0.07mm。ちなみは花粉は大小、形が様々ありますが多くは0.02~0.05mmの大きさと言われます。
※濾過は花粉を取り除くことが目的ではありません。

 

濾過後のはちみつは瓶詰め用の定量充填機に移されます。この充填機にもメッシュをあて、そして専用の磁力マグネットを併用します。金属片に加え、人工由来の異物混入を予防するためです。はちみつは開封時から温度が低くなっていくので冷える前に瓶詰めしていきます。1本ずつ丁寧に、ビン詰めと計量を繰り返します。この時に蓋締め作業もほぼ同時に行います。

ノズル部分のメッシュ
ノズルとはちみつ

※はちみつは濾過機器と充填機器を経る際に細かい気泡が発生することがあります。時間が経つと容器上部に層状に見られることがありますが品質に問題ありません。

 

画像+ 温水槽、ビン陳列、濾過タンク、充填の様子、蓋締めの様子